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SMC静岡マウンテンクラブ

静岡市の山の会---静岡マウンテンクラブへようこそ

2016年 8月  第193回山行記録


 

飯豊山                    飯豊山行程図はコチラ

                                                            

      

                 


実施日:平成28年8月25日(木)~28日(日) 天候:晴れ、曇り、小雨、霧
参加者:12名 男性:7名 女性:5名
担当リーダー:大石  サブ:山本(幸)  レポート:佐藤
 

 
 飯豊山は長いこと「飯豊連峰」と言う漠とした形で常に私の頭の隅にあって、宿題のような、
あるいは約束したようなとも言える山で何故か他の山々とは別な強い思い入れがありました。 
体力的に見て無理だなあと思いながらもいつの日か山頂に立てるのではと淡い希望を持ち続け
ておりました。今回有難くも何人かのメンバーから声を掛けて頂き、仲間の一人として参加そ
の山頂に立つことが出来ました。

8月25日(木) 晴れ
7:00 セイシンの小型バスは12名の頑健な男女をのせて静岡南口を出発。今日は宿泊地
「川入」まで観光をかねての移動日。静岡ICより東名高速へ。富士川からの富士山は青空を
背に頂には小さな白い雲、黒くて荒々しい夏の男性的な山容は我らの前途を祝すかのよう。
8:05 足柄P 8:55 海老名JCTから圏央道 10:00 久喜白岡JCTより東北自動車道
 11:50 白河ICにて高速道を降り最初の見学地「塔のへつり」へと向かう。何百万年もの
歳月をかけて川岸の断層がちょうど黒部の水平道のようにへつられた自然の力に感動、有名女
優がTV撮影中のレストランでビールと蕎麦。12:40~13:45
 次の見学地大内宿へ。先回山の仲間と訪れているはずなのに誰も覚えが無いと、記憶が段々
と怪しくなってきた。大きな茅葺の家が街道の両岸に立ち並び江戸の往時を偲ばせる。
 それにしても暑い。14:05~15:00 会津若松ICより磐越自動車道へ15:55 会津坂下
ICより一般道を今宵の宿のある川入を目指す16:05 「民宿高見台」は文字通り鄙びた山村
の高台に一軒だけあった。多分無人の建屋の続く狭い道路をバスは軒先に触れないよう慎重に
駐車場に。17:00 老夫婦で営む民宿はまさにマタギの宿と言うべき風情。母屋と別棟に分宿。
 冷房設備無し、暑さ対策は一台の扇風機と団扇。家庭用の風呂に12名が交替で漬かる。汗を
拭き拭き夕食、マタギ料理?クマの肉は意外と柔い。朝食のしじみ汁には具の貝が三個あるの
に実は一つ トホホ。宿の亭主からのアドバイス、登山口を予定の川入からを止めて下南沢林
道を登れば横峯まで4時間10分が1時間ほど短縮できると。地図で確認すると確かにルートは
ある。明日の泊り「切合小屋」まで8時間10分のコースタイムに恐れを抱いていた私はひそか
に快哉、民宿の評価を大きく上げた。携帯は通じず早めに床につくも厳しい歩きを思うと寝苦
しく良く眠れぬ一夜ではありました。

8月26日(金) 曇り、霧
5:50 民宿の主人案内で山形県に通じているという新しく整備された舗装路を行くと暫くし
て登山口への林道分岐 6:00。 軽いストレッチで勇躍飯豊の山頂を目指して歩きだす。
久々の大型ザックが肩に重い。林道を詰めると横峯への登山口6:25。どうも一般には解放さ
れていないルートのようだ。はじめは穏やかな林間の登山路を小さな渡渉を繰り返しながら
快調に歩を進めるが、すぐに地図で想像したように急な登りとなる。それもほとんど踊り場
も無く、唯ひたすらに急坂を昇る。汗まみれとなり額からは大きな滴。尾根を登りきると横峯、
川入ルートからの分岐点だ8:35 地蔵小屋跡・剣ヶ峰分岐9:00を経て水場へ9:10 まさに
甘露の水、美味い!思い切り喉を潤す。ヤマアジサイ、オオカメノキの赤い実がわずかな慰め。
険しい岩の登山路を前にして休憩。息を整えるのに精いっぱいで水や何かを口にする余裕がな
い。ストックを納めて険しい岩稜に取り付く10:10。かなり急な登り、雨でも降ったら滑りそ
うでかなり危険だ。登山路の岩間にアカモノの白い花。ガスが流れると対岸は大岸壁。
 リーダーは慎重にルートを選び三点確保で登り進む。10:30 剣ヶ峰 細く険しい岩の稜線
を無事登りきり平坦な登山路を行くと漸く三国岳(避難小屋)へ11:05。休憩の後は今宵の宿
泊「切合小屋」への最後の踏ん張り11:30。霧の晴れ間に穏やかな稜線が種蒔山へ延びている。
13:15「種蒔」の標、切合へあと一キロとある。草原が広がり砂礫の向こうに小屋が見え出す。
13:40 切合の小屋着。どっと疲れが出て暫らくは動けない。幸い登山客はそれほどでもなく
2階に全員の部屋割り。汗で体全体がびしょ濡れ、先ずは着替えて、マット、シラフと寝床を
セット。漸くビールにありつくが何と生ぬるい。夕飯はレトロのカレーを小屋前の広場でしぶ
とい「ぶよ」と格闘しながら搔っ込む。自称「晴れ男」の言を固く信じて早めにシラフに入る
も何度も目覚める。

 
006
初日に寄った大内宿

018
切合小屋 雨
 016
登山初日 いきなり急登 ?
028
立ちはだかる岩場 ガンバレ

026
小休止 ガスって視界ゼロ
056
可愛い石仏 姥権現
034
鎖、岩場の危険個所
085
泊まりを変更、切合こちらに

073
ここは休息のみでスルー
081
小雨の山頂 イイデ~ (^O^)

101
お疲れ無事下山

 
 8月27日 曇り、小雨、霧
 4:00起床 小屋手配の朝食。5:50 「晴れ男」の霊験もかなわず雨具を着けていよいよ飯
豊山頂を目指す。幾つかの頂きを越えなければならない。デイザックに大型用ザックカバーを
無様に覆うって歩き出す。
 雲は高いが霧で視界は良くない。7:05 急な登りを草履塚へ、晴れていれば飯豊山頂から
大日岳の眺望が楽しめるところ。砂礫と草原の広場には薄紫のマツムシ草が露に濡れながら
一面に広がっている。
 7:25 姥権現、 黄赤の涎掛けの石地蔵が黙然と霧の中。前方の岩山へと登山路は緩い傾
斜で下って行く。御秘所は岩場の登り7:30 前方に高い頂へ急な登山路が延びている、御前
坂。きつく長い登りだ、リーダーが盛んに時計を見ている、休憩のタイミングを見ているのだ。
 ちょっとした広場で休憩、喉がめちゃくちゃに乾く。チングルマが咲いている。一ノ王子
08:35 霧の中を尚登る。大きな二つの岩を置いた山頂を過ぎると本山小屋、飯豊山神社にお
参り 08:45.霧の晴れ間に漸く飯豊の山頂が見え出す。
 TVで何回も見た山頂への稜線、もうすぐそこまで来た、何か登り切るのが勿体ないような
複雑な気分。9:15 飯豊山頂 バンザイ リーダーと握手、過ってない感激、目が少し潤む、
何か重く背負ってきた大切なものを納めたような充実の気分。暫し雲海の割れ目から見える重
畳と重なる山嶺を眺めて下山。
 9:40 本山小屋にて休憩。往路では気の付かなかった花々が目につく。ヒメシャジン、トリ
カブト,ハクサンフウロ、ヨツバシオガマ、コバイケイソウの先には雪渓が広がっている。
12:05 切合小屋。早めに着いたので泊りを三国小屋へ変更、明日の行程を一部今日の内に稼
ぐことになる。
 リーダーが三国小屋の予約と切合小屋キャンセルを手配。何とTV日本百名山出演の若きガ
イドと出合う。12;20宿泊の手配変えを済ませて出発、明日楽になるのは判っているのだが、
予期せぬ変更に気力が追い付かず動きが良くない。往路と同じ登山路を登り下りして三国岳避
難小屋へ14:50。空いているが文字通りの避難小屋で寝るだけ、小屋は新しくきれいだ、食事
はレトルトの親子丼、初めての経験、水場が無いので水は貴重品、何と2リッター1000円(分
割売りはしない)。着替えと寝床をセットしてビール、空缶は各自麓へ持ち帰りが条件。早め
に寝るもやはり寝付かれず。

8月28日(日) 曇、霧 
 5:15 各自行動食で朝食を済ませて出発。長い危険な岩稜を下る、避難小屋の話では今月
だけで4件の転落、転倒事故があったとか。登りより遥かに危険、ゆっくり確実に三点確保で
下る、昨日稼いだ2時間が大きい。
 とは言え疲れが溜ってるのか両太腿の筋肉が痛みだし歩くのが辛い、リーダーが急坂になる
とゆっくり小幅で歩いてくれるので助かる。偶の休憩も息を整えるのが精いっぱい。7:00水場、
我慢していた水を思い切り飲み、ボトル2本に満たす。7:40 横峯分岐点 ホットするととも
に疲れと汗がどっと噴き出す。いよいよ最後の長い急な下り、痛む足を庇いながら歩く。
 9:30 登山口。セイシンのバスが待っており歩きの終わりを実感。何はさて置き汗を流したい。
 10:05~11:10「いいでの湯」は温泉の元湯源泉輸送管が故障で沸かし湯だとか。なんでも
良いとにかく汗を流したい。ゆっくりと汗を洗い流してビールを楽しむ。体重が3キロ減って
ビールが甘い、体質が変化しているのだろう。野菜が安く嵩張るにも拘らず我も我もと買いて
いる。12:00道の駅「にしあいづ」で昼食、食欲が無く、アイスを2個。磐越道、東北道、圏
央道、東名と乗り継いで静岡駅19:45 無事帰着解散。御苦労さんでした。Yさんは義理堅い
人、両手に持ちきれないほどの土産を購入、タクシーでの送りを餌にポーターを務める。
 お蔭で清水駅よりタクシーで送って頂き、20:20には自宅玄関。「タダイマ~」扉を開ける
とリーンリーンと鈴虫の大合唱、途端に張りつめていたものが融け、得も言われぬ充実感に満
たされた。「飯豊山」 リーダー、サブリーダーを始め仲間の皆さんに応援して頂き無事登頂
出来ました。有難うございました。「s」